来たるべき富士登山に向けて脚力をつけて置こう。
そう考えた私は、いきなり難易度の高いハイキングをするよりは、なだらかな起伏のある場所で長距離を歩き感覚を掴む事を思いついた。
2
私が富士山を登りたい目的はただ一つで、それは頂上にある神社や祀られている石を確認して紀元前から続く山岳信仰のルーツを探り、謎を解き明かすため。
そうであればまずは周辺の低山にある裏の史跡を巡り、日没前に地上へ戻って来るという作業をコツコツ続けて歴史のシルエットを浮かび上がらせてしまえば研究が前進する、そう思ったからです。
山北は小さな川や湧水が多いのか、そこら中からせせらぎが聞こえてきます。住宅地ですが全方位、自然剥き出しの岩山が見えてまるで温泉街のような雰囲気です。
季節は既に7月下旬で非常に蒸し暑く、体の水分がどんどん奪われてゆく。
11
国道の下に設けられた鉄筋製の歩道を通り抜け、この地方を支える酒匂川の大きな橋を渡る。
汗だくになり、脱水症状に悩まされれば自動的に冷たい水の流れる滝へ引き寄せられるのでしょうか。
12
”酒水の滝入口“という看板を見るなり吸い寄せられるように鉄筋で出来た小さな赤い橋を渡りだしていた。
10分ほど歩けば砂利の広場が見えてきて、滝への登り口が見えてきた。
”竜王山常実坊“ という文字が見えどうやらこの先にお寺があるらしいということはわかった。
19
道の両側に水が流れているからかほんのり涼しくはあるものの、まだまだ蒸し暑い。
洞窟があるのかコウモリが飛んでいる。
この辺は蚊も多いから餌に事欠かないのだろう。
20
夏祭りが近いのか、子供たちが駆け回る中、大人たちは腕まくりして重そうな資材を運んでいる。
なかなか逞しい筋肉ですね。美しい。
21
アブラゼミの合唱を聴きながら急な坂を登り詰めれば、私の汗は滝のように流れて脱水症状は悪化するばかりです。
22
すると、突如降り注ぐキンキンに冷えた水。
ドボドボという滝の音。
外気がどんどん冷えて来た。
ようやく酒水の滝にたどり着いた。
名水百選に入っているそうで、7月の第4土曜日がお祭りだそうです。
27
滝の上には、お寺があるが天狗や鬼と関係ありそうな、いわゆる山岳信仰の佇まいです。
28
稲荷神社があった。昔は神社とお寺の区別は無かったし、そもそも御嶽信仰と言って神社と修験道はルーツが同じです。
29
御嶽信仰は縄文時代に編み出された精霊信仰で山や海や川で厳しい修行をし護摩を炊き神々に誓いをたて、神々と遊び、神々の力を得る。
それはとある海洋民族によって世界中に広められていたため日本、中国、朝鮮の関係だけで紐解こうとすると結論を誤ってしまうのです。
30
こちらの伝承の文覚上人は、伊豆の国市奈古谷にいた平安時代末期の坊さんで元武士。源頼朝に挙兵を決断させた人物として歴史に名を残しますが・・・・どうも、ここで修行していた修験者だったようです。
31
鎌倉幕府の構想を描いて源頼朝をスカウトしたのは北条時政ですが彼ら北条家の氏神は子ノ神であり、御嶽信仰の担い手です。
その源頼朝に打倒平家の挙兵を促したが文覚です。
32
歴史に詳しい方はご存知でしょうが頼朝の弟である源義経は遮那王という名前だったとき、鞍馬天狗から指南を受けていましたよね?
33
とある修験道の先生が言ってました。
大昔は朝廷に対抗するために霊山同士がネットワークで繋がっていたと。忍者は修験者のことであると。
そして天狗の衣装は……。