かつて地球には銀河の反対側からやってきた人々がいたという。
太古の地球はシダ植物ばかり繁茂していて、彼ら文明人がそのままお召し上がりになれそうな植物が無かったという。だからこそ遺伝子操作で新種を創って地上へばらまいたに違いない。
春になるとやってくるのが花粉症。
涙とくしゃみが止まらないのは自然界の鼓動に敏感なシャーマンの家系であることと無関係ではあるまい。
つくしが終わり、強烈なヒノキ花粉が溢れ出す4月中旬は、小さくて柔らかなタンポポの第一期生が咲き乱れる。
花も茎も葉っぱもほぼアク抜き無しで調理できて根っこは乾燥させてコーヒーに出来るタンポポは栄養も満点。
花の部分の苦みは加熱する事で旨味へと変化し、まるで高級なほうれん草のような味わいになる。
柔らかいのと捨てるところがないのとで、包丁を使わず調理できるすぐれもの。
唯一の難点はアリやテントウムシ、ナメクジ、アブラムシなどあらゆる小動物がくっついて来るから最低二回は水に浸して除去しなければイケナイところ。
元自衛官が言っていた。
「やたら虫が寄ってくる野草は美味いぞ?嘘だと思ったら食べてみろ」
今回はタンポポの花と茎を使って中華炒めにしてみた。
材料は98円の輪切り唐辛子とごま油、塩とタンポポ、以上。
最初に水に浸しておいたタンポポを軽く洗い(虫やゴミがついてる事がある)、軽く湯通しするのもあり、熱したアツアツのフライパンにごま油を馴染ませ、タンポポを一掴みずつ投入する。
炒めながら輪切り唐辛子と塩を適量投入し、しっかり火を通す。とくに花の部分が生だと美味しくならないので意識して火を通そう。
全体が茶色っぽくなったら盛り付けて完成。
個人的にはこれが絶品です。
バリエーションで卵とじにしたあとご飯の上に掛けて丼モノにしてもOK。
こんなに美味しくても原価は0円。しかもどこにでも生えていて乱獲しても無限にでてくるこの灰汁のない植物は、有史以来の理想的な野菜であり、どう考えても人の手が加えられているとしか思えない。